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shoryu38の特撮・ヒーロー日記

ウルトラマン、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』

『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』

2017年3月11日公開

脚本 中野貴雄

監督 田口清隆

 

「え? 今更!?」と言われそうですが、自分が住んでいる岩手県ではゴールデンウィーク公開だったので。

 

映画を見て感じたのは「子供が飽きないように作っている」であった。

まずは全体的にドラマ部分が少ない。おそらくこれは意図してのもので、たとえばサデスに関しては「以前にオーブに倒され、体を半分機械にして復活した」で、ムルナウも「以前にオーブと因縁があって、今は地球を宝石にしたい」と言う説明が台詞でちょっとあるだけとなっている。普通だったら回想シーンを入れたり、ガイとムルナウの間にもっと会話場面を入れるものなのだが、そこは子供が飽きる場面と判断したのか、ごっそりと削っている。

『オリジンサーガ』等と比べるとギャグが多くて全体的にコミカルになっているのも子供達を飽きさせないようにで、登場人物が深刻になって悩む場面は殆ど無い。ただ立っているだけ座っているだけと言う「止まっている場面」が全体的に少なく、常に誰かが動くか喋るかしているようになっている。

ウルトラマンの映画の見所の一つは暴れる怪獣やヒーローの活躍であるが、今回の映画は最初にハワイでオーブとゼロの戦いを始めると、SSPでのやりとりを少し経たら、すぐにムルナウの屋敷に侵入してムルナウ配下の宇宙人達と戦い始め、そのままサデスやデアボリックとの最終決戦に至っている。最終決戦ではジャグラーの参戦、オーブトリニティの登場、ニュージェネレーションズの復活、ウルトラセブンの参戦と次々にサプライズを盛り込んでいった。

このように今回の映画は「途中で子供達のテンションが落ちる場面を作らない」となっている。それが成功したかどうかは分からないが、自分は72分があっという間に過ぎ去ったのは事実であった。

 

ただ、問題もある。

最初から最後まで見所を矢継ぎ早に出していった結果、どこがこの映画一番のクライマックスだったのか分かり難くなってしまった。盛り上がりポイントが分散してしまい、最も盛り上がるポイントが無くなってしまったと言った方が良いかもしれない。その煽りを受けたのが新フォームのオーブトリニティで映画を見終わると意外とその印象が薄い。子供達が飽きないように色々と盛り込んだのは分かるが、結局のところ、この映画は何を一番見せたかったのかがいまいち分かり難かった。

 

オーブリングやダークリングの設定に関しては漠然としていると言うかザックリとしているのだが、「宇宙で一番邪な心を持つ者の所にやって来る」で説明が済むのが「宇宙の神秘」であるウルトラシリーズの利点かなと思う。これが仮面ライダースーパー戦隊だとヒーローや怪人が使うシステムにもっと具体的な説明が求められていたと思う。

セブンの参戦も唐突なのだが、これはウルトラシリーズが長い時間をかけてウルトラ戦士間のネットワークを構築していったので不自然さは感じなかった。仮面ライダーはこういうヒーロー同士のネットワークを作品ごとにリセットしてしまうので春映画で皆を集めるのに苦労するのかなと感じるところがある。(春映画の場合はあえてヒーロー同士のネットワークを無くしているので一概には比べちゃ駄目だけど)

 

ジャグラーの立ち回りはウルトラシリーズでは珍しいもの。

正直言って、滅茶苦茶オイシイ位置で、こういうキャラを作る事が出来たのは『オーブ』の功績の一つで、今後もこのライバルキャラの立ち位置は何らかの形で残していってほしい。

 

ムルナウはオーブに対して色々と思うところがあったのだろうなと思うが劇中では殆ど説明が無い。ここはムルナウを演じた椿鬼奴さんのキャスティングで上手く補完していたと思う。

 

サデスのキャラは凄かった。これ、今後もこの路線で登場し続けたら、いつかデッドプールみたいなキャラになるかもしれない。

 

田口監督と言えば怪獣に拘った演出が多いが本作では宇宙人の登場が多いからかその辺りは薄め。代わりに坂本浩一監督のようにアクションシーンが多くなっている。他にもゼッパンドンの登場シーン等、他の監督を思わせる演出が見られる。『ギンガ』から続いたシリーズの総決算を「演出」と言う部分で行ったのかもしれない。こういう場合の総決算では「キャラクター」や「シチュエーション」を使うのが多いのだが、これまでのシリーズで使われた「演出」を総決算させると言うのはあまり見た事が無い。

 

劇場版のラストシーンは『オーブ』と言う物語の終着点としては作られていない。エピソード10構想がどの時点で考えられたのかは不明だが、スタッフは『オーブ』と言う物語をどこかで終わらせるつもりは無いと思われる。

元々、「風来坊もの」の終着地点はどこかの地に留まるか主人公が死ぬかだが、ウルトラマンとなったガイが地球に留まるにはウルトラマンを捨てて人間で生きなければならないわけで、他には地球を去ってウルトラの星に留まるか、ガイとジャグラーが死ぬかしないと物語を終わらせるのは難しい。なので「風来坊もの」にした時点で『オーブ』は終着点も出発点も描かれない、あくまで「風来坊であるガイとジャグラーの物語の一部分を切り取る」と言う形が決まったと考えられる。『オリジンサーガ』でガイとジャグラーのファーストミッションは描かれたが二人の誕生や出会いが描かれなかったのも、出発点を描いたらその対比にある終着点が見えてしまうからなのかもしれない。

ウルトラファイトオーブ』で『オーブ』の作品展開は一旦終了し、次に『ウルトラマンジード』が控えているが、ガイとジャグラーの物語はまだまだ終わらない。

 

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