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ウルトラ38番目の弟

ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

「M」 『仮面ライダーアマゾンズ』Last Episode

仮面ライダーアマゾンズ

「M」

仮面ライダーアマゾンズ』Last Episode

2016年6月24日配信

脚本 小林靖子

監督 石田秀範

 

正直言うと、序盤の頃は「この作品は大丈夫なのかな…」と心配していたが、途中で何かを掴んだのか、グイグイとヒーロー作品のタブーに切り込んでいき、最終回では遂に地上波のヒーロー作品では描くのは難しいであろう領域に達した。

やはり作り続けるのって大事なんだな。段々とスタッフと役者が乗ってきたのが分かる作品だった。

 

『アマゾンズ』の序盤がイマイチ弾けられなかったのは、スタッフがどこまで踏み込んで描写をすれば良いのか試行錯誤していたと言うのもあるが、悠を主人公にしてしまったのも原因かと思う。と言うのもこの作品は駆除班の志藤を主人公にした方が話が見やすい。駆除班は普通の人間なのでアマゾンである悠や仁より視聴者目線に立つ事が出来る。駆除班として少しずつ事件の謎に迫ると言う構図にしても良かったと思う。

また、本作の構図を考えた場合、悠と仁が対極に立っていて、その間に駆除班とマモルが立っている形になるので、悠から駆除班と仁を見るより駆除班から悠と仁を見た方が全体が見やすいところがある。

 

まずは仁。こちらは分かりやすく「人間は守ってアマゾンは狩る」。

これは仁が人間だから。仁は人間なのでアマゾンが人間が生み出したものと理解していながら、人間はアマゾンに食われるつもりは無いとしてアマゾンを狩っている。自身にアマゾン細胞を移植したのはあくまでアマゾンと戦う力を得る為であって、仁はあくまで人間で、人間の為にアマゾンと戦う。

 

対する悠は色々と紆余曲折があったが「守りたいものは守って狩るものは狩る」となった。人間でも許せない放っておけないと思えば攻撃するし、アマゾンでも守らなければいけないと思えば守る。

そのアマゾンを守るかどうかの線引きを悠は「覚醒したかどうか」で判断した。ミカのような守らなければいけないと一度は思ったアマゾンでも覚醒したら倒す一方、マモルやかつてのミカのように人を食べても覚醒していなければ守るとした。これが日本のヒーロー作品ではかなり異色で、悠の守るかどうかの基準に「人間かどうか」は含まれなくなった。(最終回での悠は駆除班を助けたように登場したが、あれはあくまで覚醒したアマゾンを倒したである) 悠は完全にアマゾン側に立ったのだ。他のヒーロー作品では主人公が人間ならざる存在でもどこかに「人間は守る」と言うのがあるのだが、悠にはそれが無くなった。まさか、ここまで描くとは思わなかった。(そしてこれまで不満だった、悠が人を食べたミカを守ろうとしたのにも合点がいった)

 

駆除班が戦う理由は「金」と「チーム」。

金で割り切っているのは下手にアマゾンに立ち入ると泥沼にはまってしまうから。シンプルな金と言う価値観で決断した方が普通の人間としての思考を残せるから。その一方で背中を預けるチームを信じると言うのがあるが、ここで面白いのがアマゾンのマモルもチームにいる事。マモルは同じチームであり、Episode11ではマモルがお小遣いからお金を出してチームを一つにまとめた。「金」と「チーム」による戦いの理由付けによって駆除班は「アマゾンのマモルと共に戦う」と言う展開に至った。これはあくまで人間とアマゾンを分けて考えている仁と悠には無いもので、仁と悠の戦いはそのまま人間とアマゾンの戦争へと至ると見る事が出来るが、駆除班とマモルの関係は人間とアマゾンの共存と言うそこからさらに一歩先の未来を見る事が出来る。

 

最終回で駆除班の日常が描かれるが、実はそれぞれのメンバーの事情は公式サイトに記載されていた。でも、これは本放送まで隠してほしかった気もする。その方が駆除班の日常と非日常のギャップが際立ったと思う。

 

野座間製薬の話だと加納と橘はアマゾンを商品として見ていたが、水澤と天条はアマゾンを新種の生物として地球における生態系の書き換えまで見ていた。普通の人間の感覚は加納と橘の方で、そこから逸脱したのが水澤と天条だと言える。

こうして見ると、加納がこの中で一番まともな人だったのかもしれない。

 

ヒロインだが、仁は七羽と一緒にいると安定していて、悠は美月と離れた方がしっかりとしていると言う対比が面白い。

残念だったのは美月の話で、もっと描いて欲しかった。正直言うと、彼女の立ち位置が弱く、悠&美月のラインが仁&七羽のラインに比べて弱かった事で悠のドラマもやや迷走した感じがする。もっとがっつりと話に絡んできても良かったと思う。

 

人間ドラマは面白かった『アマゾンズ』だが、駆除班がわずか1チームでは対処しきれないだろう?とか組織関係の描写がいまいちだったのが残念。予算の都合もあるのだろうが、そこは台詞でいくつかフォロー出来たと思う。第2シーズンではその辺りの描写にも力を入れて欲しい。