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shoryu38の特撮・ヒーロー日記

ウルトラマン、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年公開)

X-MEN

X-MEN:フューチャー&パスト』(X-MEN DAYS OF FUTURE PAST)

2014年5月23日アメリカ公開

監督 ブライアン・シンガー

脚本 サイモン・キンバーグ

 

X-MENシリーズ第7弾にして新三部作の第2弾。

これまでのX-MENシリーズ全てを総括するような内容になっていて、正直言って「これが最終作で良いのでは?」と思えるほどの完成度を誇っている。

 

X-MENシリーズは第1作の『X-メン』から本作まで15年の月日が経過している。

長期中断やリブートも無くて15年も続いているアメコミ映画は他に無い。スーパーマンは『Ⅳ』から『リターンズ』まで20年近くの時間が経過していたし、バットマンスパイダーマンは途中で何度かリブートが行われている。

X-MENシリーズは2016年には『デッドプール』と『X-MEN:アポカリプス』が公開されたのでこの時点でシリーズ開始から17年となっている。作品数では1年間に2作を公開するマーベル・シネマティック・ユニバースの方が多くなっているが、期間の長さでX-MENシリーズを追い抜くアメコミ映画シリーズはそうそう出ないであろう。(因みにマーベル・シネマティック・ユニバースは2008年公開の『アイアンマン』から始まっているので、シリーズ開始から17年経つのは2025年となる)

 

X-MENシリーズはリブート無しに15年もの間シリーズを続けているが、さすがに作品間において矛盾が出始めたし、サイクロップスやジーンと言った死亡した事で再登場が難しくなったキャラクターも出てくる等、シリーズを続けていく上での問題点が出始めた。

本作でウルヴァリンが過去に干渉して歴史を改編した事で、1973年以降の出来事、すなわち旧三部作やウルヴァリンシリーズで描かれた多くが「無かった事」となった。これによって、累積していた矛盾点を解消する事が出来たし、サイクロップスやジーンも再登場が可能となる等、これからのシリーズ展開における自由度がぐんと増した。

本作はバットマンスパイダーマンでこれまで行われていた「リブート」を一種のイベントとして劇中の展開に組み込んだと言える。この「時間を改変する事でシリーズのリブートを行う事無く新展開を始める事が出来る」と言うのは衝撃であった。

 

今回の敵であるセンチネルだが、実は『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』の模擬訓練の仮想敵で一度出ている。プロフェッサーは人類とミュータントの対立を望んでいないのに、彼が設立した恵まれし子らの学園では戦闘訓練が行われていたのはおかしいなと疑問に思っていたのだが、ひょっとしたら、未来でセンチネルとの戦いが始まる事をプロフェッサーは予感していたのかもしれない。

 

荒廃した未来での戦いではプロフェッサーとマグニートーが協力してセンチネルに対抗している。この二人が共にいると言うのが事態の大きさを示していて非常にワクワクする。『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』ではマグニートーがプロフェッサーの最期を看取っていたが、今回はマグニートーの方がプロフェッサーの前で絶命の危機に陥っている。

 

未来では新世代のミュータントが何人か登場している。

空間に穴を開ける事で空間移動を行うブリンクの能力が面白い。

サンスポットは最初に見た時はパイロかと思った。今回はプロフェッサーとマグニートーが協力しているので、アイスマンパイロの同級生ライバルの協力するところも見てみたかった。旧三部作を考えたら、アイスマンパイロが力を合わせてローグを助けに行くと言うのは燃える展開だったと思う。

 

これまで「物体をすり抜ける」という能力を見せていたシャドウキャットだったが本作ではそれがパワーアップして「時間の壁を越える事が出来る」となった。いやいや、どういうパワーアップだよ!と言うほどの成長であった。

 

時間移動では心を乱してはいけないと言う制約がある他、ウルヴァリンも色々な出来事を経て大人になっていた事もあって、過去編ではウルヴァリンが一番の大人として皆を率いていくと言う珍しい構図になっている。一匹狼だった『X-メン』と比べるとその変化に思わずニヤリとする。

 

機械による殺戮が行われている荒廃した未来を変えるべく過去に時間移動すると言う展開は『ターミネーター』を思わせる。それを意識してか、「未来から来た男が裸の状態」「服を奪った後、車の鍵を手に入れ、サングラスをかける」と言うターミネーターシリーズのお約束が本作でも行われている。

 

過去編では『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』に続いて実際の歴史を組み込んだ展開になっていて、今回はベトナム戦争の影が見られる。

また、本作に登場するアメリカ大統領はニクソン大統領らしい。実在した政治家を「私以外の人間には何をしても構わん」みたいな命令を下す人物として登場させられるのが凄い。日本では考えられないなぁ。

ミスティークが昔のニュース番組に映る演出は「実在の歴史に架空の存在が入り込む」として実に印象的な場面となった。

 

過去編の見所の一つはクイックシルバーの登場。

アメコミ原作ではマグニートーの息子となっていて、本作でもそれに触れた部分がある。あと、本作ではかなり年の離れた妹がいたが、ひょっとして、あの子がスカーレット・ウィッチだったのかな?

クイックシルバーの高速移動は本作では周囲の物体を遅く動かす事で表現すると言う『仮面ライダーカブト』のクロックアップを思い出させる演出が取られていた。

それにしても、プロフェッサーは能力が消えていたので仕方が無いが、ウルヴァリンマグニートーが対応できない能力と言う事は、ひょっとして、クイックシルバー一人いれば今回の事件は全て解決できたのでは?と思えてくる。

尚、本作と同じ2014年に公開された『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』にもクイックシルバーが登場している。制作や配給の関係でマーベル・シネマティック・ユニバースとX-MENシリーズは世界観を共有するのが難しいが、同じキャラクターでも違う役者が違う設定で演じれば両方のシリーズに登場させる事が可能と言うかなり驚きの解決方法がとられた。

 

ミスティークの細胞がセンチネルに使われる事で凄惨な未来が訪れた事を知ったマグニートーはミスティークの抹殺を決断する。この辺りのマグニートーの考え方は『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』でキュアを打たれて能力を失ったミスティークを切り捨てたのに繋がっていると言える。

 

今回の悪役であるトラスク博士だが、彼のミュータントに対する認識はそれほど間違っていないと思われる。ミュータントを新人類とするなら、かつての種の生存戦争のように旧人類と新人類の争いは起きるであろうし、その時は敵となるミュータントはヨーロッパやアジアやベトナムにいるのではなく、アメリカ国民の中から生まれてくるのだ。

とは言え、最後に軍事機密の漏洩が明るみに出て失脚したところを見ると、軍事産業なのでベトナム戦争終結後の新たな戦争として今度はミュータントとの戦争を訴えたと見る事も出来る。

 

本来の歴史ではセンチネルは計画自体は既にあったものの1973年時点では完成には至っていない。これは本来の歴史ではミスティークの細胞が採取されるのがトラスク博士の死亡後であったからと考えられる。歴史が変わってトラスク博士が生きている時にミスティークの細胞が採取されたのでセンチネルの計画が一気に進んだのだろう。

 

ラストシーンの未来に帰還したウルヴァリンが恵まれし子らの学園で仲間達の幸せな姿を見て最後にプロフェッサーと再会する場面は涙無しには見られない。シリーズを通して見た人は必ず泣くと言っても良いほどの名シーンとなっている。

 

 

2015年に発売された「ローグ・エディション」では劇場公開版ではカットされたローグの場面が復活している。X-MENシリーズはウルヴァリンとローグの二人から始まっているので、一つの区切りとなる本作で再びウルヴァリンとローグが物語の中心になるのは当然と言える。『X-メン』ではローグを犠牲にしようとしたマグニートーが本作ではローグ救出に向かうと言うのが面白い。

ただ一方で、ローグが全く登場しない劇場公開版では気にならなかったのだが、ローグが登場するとアイスマンとシャドウキャットとローグの三角関係が色々と引っかかってしまう。ローグは『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』でキュアを打ったのだが、そのキャアの効果も永遠ではなかったので、結局はアイスマンとは別れる事になったと思われるが、アイスマンはローグが捕らわれている事を知っていながら、その話題を出したのがシャドウキャットが危機に陥ったのでローグにその代わりをしてもらおうと言う時だったので、今カノが危機なので今まで放っておいた元カノに助けてもらおうと言う感じに見えて、アイスマンの印象がすこぶる悪くなる。もう少し別の描き方は無かったのだろうか…。

 

ローグの場面の他、ビーストとミスティークの場面も追加となっていて、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』の話を継いでいる。

また、ミスティークが女の色気を使って目的を達成すると言う旧三部作での行動を思わせる部分も追加されている。