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ウルトラ38番目の弟

ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』(2006年公開)

X-MEN

X-MEN:ファイナル・ディシジョン』

2006年5月26日アメリカ公開

監督 ブレット・ラトナー

脚本 ザック・ペン サイモン・キンバーグ

 

X-MENシリーズ第3弾。

一応の完結編ではあるが、この後もスピンオフや新三部作が次々と製作され、結果的に完結した後の方が長くシリーズが続いていると言う状況となった。

 

監督交代等と色々とゴタゴタがあり、完結編としてやるべき事はちゃんとやっているのだが色々と釈然としないものが残る作品となってしまっている。

 

本作に登場するワージントンは息子のウォーレンがミュータントに覚醒した事を受け、ミュータントを普通の人間に戻す「キュア」と言う治療薬を開発する。キュアの元となったミュータントの少年の扱い等を見るに、ワージントンはケリー議員やストライカー大佐のようなミュータントに対する嫌悪や憎悪は無く、真にミュータントを普通の人間に戻したいと願っていたようだ。つまり、彼は悪人ではない。しかし、そんなワージントン達に対してミュータント達は告げる、「俺達、惨めか?」と…。

 

キュアによる治療に賛成なのはローグ。

自身の能力のせいで他人と触れ合えなくなったローグにとってキュアはまさに希望の薬であった。

逆にキュアによる治療に反対なのはマグニートー率いるブラザーフッドの他にストームも反対の立場であった。

ストームはミュータントは病気ではないと言っていた。ミュータントを「能力者」と捉えると、危険な能力は無い方が良いのでは?と思えるかもしれないが、ミュータントを「マイノリティ」と捉えると話が違ってくる。マグニートーは「ミュータントの印を見せて」とカリストに言われた時にナチス強制収容所で受けた番号の刻印を見せている。また、マグニートーを演じたイアン・マッケランが同性愛者である事を考えると、本作でのミュータントを治療によって普通の人間に戻すと言うのは、ユダヤ人をドイツ人にするとか同性愛者を異性愛者にするとかに通じる問題と言うのが分かる。これがミュータント本人によって治療を受けるかどうかの選択が行えるのならともかく、実際はキュアを武器として装備したキュア部隊が組織されていたので、最終的にはマグニートーが危惧したようなキュアによる強制的な治療、すなわち、ミュータントの撲滅が行われていたと推測される。

とは言え、アメリカ政府がミュータントに対して危機感を抱くようになった原因の一つにマグニートー率いるブラザーフッドの活動があったので、自らの行いが跳ね返ってきたとも言える。

 

一匹狼のイメージがあるウルヴァリンだが、本作ではサイクロップスの代わりに授業を担当したり、X-MENの一員として皆を率いたりしている。他にもキュアによる治療を受けるかどうか悩むローグの背中を後押ししたりと、これまでの作品でプロフェッサーやサイクロップスが担っていた役割をこなしている。

 

1作目ではプロフェッサーを中心にサイクロップス、ジーン、ストームの3人が補佐すると言う形だったのが、いつの間にやらストーム以外の3人がいなくなり、ストームは一人で学園を切り盛りする事となった。本作ではウルヴァリンやビーストが補佐していたが、さすがにイッパイイッパイだったのか、これまでに比べてやや余裕が感じられない部分が見えた。(強硬派のサイクロップスが早々に退場したので、本来は穏健派のストームが強硬派も担当する事になったのも原因かな)

 

サイクロップスは…これで終わりなの?と言うほどにあっけない最期。演じているジェームズ・マースデンブライアン・シンガー監督と共に『スーパーマン リターンズ』に参加したのが理由で非常に短い出番となってしまった。こうして振り返ってみると、サイクロップスって活躍しそうでめぼしい活躍が無いキャラクターになってしまったなぁ…。

 

サイクロップスと入れ替わりに本作に登場したのがビースト。ミュータント長官として政権に閣僚入りする等、人間とミュータントを繋ぐ存在となった。実際はアメリカ政府がミュータントにキュアによる治療を説得させる為の交渉役であったが、最終的に国連大使となったようなので、ここからが真に人間とミュータントを繋ぐ交渉役となっていくと思われる。

 

今回の若者チームはアイスマンとコロッサスに加えてこれまでの作品でも「壁抜け」と言う印象に残る能力を見せたシャドウキャット。物体をすり抜ける能力を使ってのジャガーノートとの対決が面白かった。まさかシャドウキャットとリーチの子供二人でジャガーノートを倒すとは思わなかった。

本作のアイスマンは好感度がダダ下がり。夜中のアイススケートの場面を見たらローグがどう思うか考えられないのは彼氏としてちょっと問題がある。

 

キュアによる治療に対して、ミュータントの意見はキュア肯定派と否定派に分かれ、否定派もデモによる抗議か実力行使による反撃かで分かれる事に。これまで隠れて暮らしていたミュータント達だが、キュアの話でそれぞれの立場や意見の違いが表面化し、今後に遺恨を残した感じになる。

 

ミスティークはキュアを撃たれてミュータントから人間になり、マグニートーから切り捨てられる事に。これまで行動を共にしてきた仲間に対して冷たいと感じるが、既にマグニートーは人間とミュータントの間に線を引いて、やるかやられるかの戦争状態に突入しているので、元ミュータントとは言え、現在は人間のミスティークを仲間として置いておくのは立場上不可能だったと思われる。

人間になったミスティークは逮捕されてアメリカ政府にマグニートーの居場所を漏らしたとなっているが、実際はマルチプルマンを使った罠であった。劇中では明言されていないが、ひょっとしたらこれはマグニートーとミスティークによる作戦だったんじゃないかなと思う。ミスティークが人間になる事はマグニートーにとっても想定外であったが、ミスティークが人間になったからこそ使える作戦もあった。

 

今回のマグニートーは少なくなった手駒を補う為にカリスト達と手を組み、護送車からジャガーノートやマルチプルマンを解放し、さらにキュア部隊への恐怖を利用して多くのミュータントを集めて軍団を形成するに至った。

ジャガーノートを始めとして、今回のミュータント同士の戦いはちょっとおバカな笑いが散りばめられていて、21世紀のアメコミ映画では珍しい感じに仕上がっている。

 

前作で能力が強くなっていったジーンだが、本作では眠っていたもう一人の人格フェニックスが覚醒し、封印されていた能力も完全解放された。プロフェッサーを遥かに上回るテレパシー能力にマグニートーを上回るテレキネシス能力とシリーズ最強クラスを誇る能力描写は圧巻。クライマックスの炎が吹き上げる廃墟に立つ姿はカッコ良いの一言。

 

そのジーンに対するプロフェッサーとマグニートーの接し方が実は『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』におけるミスティークの扱いに似ているのが面白い。

 

X-MENシリーズの軸の一つであるプロフェッサーとマグニートーの物語。本作ではプロフェッサーを失ったマグニートーの心境が興味深い。

 

そのプロフェッサーはラストで復活するのだが、その伏線は序盤の授業シーンで張られている。プロフェッサー本人も言っているが倫理的な問題はどうなるんだろうな…。と言うか、あれは一体どこの誰なんだ?(プロフェッサーの双子の兄弟らしいけれど劇中では説明無し)