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shoryu38の特撮・ヒーロー日記

ウルトラマン、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『小さき勇者たち ~ガメラ~』(2006年公開)

ガメラ

『小さき勇者たち ~ガメラ~』

2006年4月29日公開

監督 田崎竜太

特撮演出 金子功

脚本 龍居由佳里

 

ガメラシリーズ第12弾。

2002年に徳間書店角川書店大映を売却。角川書店は角川大映映画を設立するが後に社名が変更され、「大映」は60年の歴史に幕を閉じる事となった。

 

本作は昭和ガメラシリーズとも平成三部作とも世界観は繋がっていないように思われる。しかし、アヴァンガメラとオリジナルギャオスの戦いが1973年になっていて、これは1971年にシリーズが終了した昭和シリーズの続きと見る事が出来る。このアヴァンガメラとオリジナルギャオスの戦いはギャオスの群れにガメラが立ち向かうと言う構図が『ガメラ3』のラストシーンを思い出させ、『ガメラ3』の続きと見る事が出来る。

主人公である透が小学生男子なのは昭和ガメラシリーズの主人公達を、ヒロインである麻衣が中学生女子なのは『ガメラ3』の綾奈をイメージしていると思われる。(麻衣が赤い石を持つのは平成三部作の勾玉みたいなものなのかもしれない)

また、少年が育てた亀が大きくなってガメラになると言う展開はシリーズ1作目の『大怪獣ガメラ』と徳間書店時代の第1作である『宇宙怪獣ガメラ』を思い出させる等、過去のシリーズを意識した作りになっている。

 

本作は透とトトの交流がメインになっている。少年とガメラのドラマを中心に据える作劇は昭和シリーズに近い。平成三部作とは雰囲気が異なるが、平成三部作も『ガメラ3』で人間ドラマ中心の作劇に舵を切っていたので、もし『ガメラ4』が作られていたら本作のように人間ドラマ中心になっていかもしれない。

 

少年とガメラの交流がメインなので自衛隊の出番はかなり少ない。しかし、そのおかげでジーダス出現の時に自衛隊の避難誘導が間に合わず、市民が無秩序に逃げると言う珍しい場面が見られた。怪獣作品で自衛隊の避難誘導が行われず、人々がパニックになりながら右往左往する場面と言うのは実は珍しく、既にジーダスが人間を食べる場面を見せているので、「避難に失敗する=死」と言う恐怖があった。ジーダスが街で暴れている時の「これはヤバい」感は日本の怪獣作品の中でも上位に入ると思う。

 

本作に登場する怪獣は全体的に小柄となっている。その為、巨大感が削がれている場面が多々あるが、これまでの怪獣作品では見られない絵も多く作られていて新鮮であった。

 

前半はまだ普通の亀の大きさだったトトと透の交流となっていて怪獣作品と言うより動物ものと言った方が良い。なのでちょっと退屈に感じる部分もあるが、この事件の起きない序盤がジーダスが出現する中盤の衝撃を引き立ている。ジーダスの捕食シーンは必要だったかどうかは難しいところだが、ガメラシリーズは昔から怪獣による捕食シーンがあったので完全否定する事は無いかなと思う。

 

後半になると展開が強引になってくるのが残念。その最たるものが子供達による赤い石のリレー場面。

赤い石は平成三部作の勾玉みたいなもので、平成三部作に登場した巫女のように子供達は赤い石を通してガメラの存在を感じ取ったと言える。それほど理屈は付けなくてもガメラは子供の味方で子供はガメラの味方と言うのは昭和シリーズからの伝統である。

と言うようにこれまでの作品を見ていたら分からなくもないのだが本作単独で見た場合、どうして子供達がいきなり赤い石をトトに届けようと思ったのかが分からない。ここはシリーズの伝統とは別にこの作品の中でのちゃんとした説明をしてほしかった。

例えば昭和シリーズはガメラが子供を助ける場面を入れて、子供達はガメラが自分達の味方だと認識する場面が入れられている。本作だと透とトトの交流はちゃんと描かれていたので、透がトトの為に無茶をするのは分かるけれど、それなら他の子供達は出さないで最後まで透とトトの話にしてほしかった。もし他の子供を終盤で出すのなら、トトの存在が公になった中盤以降に子供達がトトの事をどう捉えているのかをしっかりと描いてほしかった。

 

説明不足と言えば、敵怪獣のジーダスの正体が劇中で一切語られていないのも残念。ギャオスの遺伝子を持ったトカゲの変異体だったらしいが、雨宮博士辺りに説明してもらいたかった。

 

前半の雰囲気は悪くなかったのだが、麻衣の病気やお守りの話等、前半にあった要素が後半ではあまり活かされていないのが残念であった。

 

本作を最後にガメラシリーズの製作は10年以上途切れる事となり、ゴジラシリーズも2004年に製作が一旦終了し、ウルトラシリーズも2006年の『ウルトラマンメビウス』で全国ネットでなくなる等、1980年代を彷彿とさせる怪獣作品にとっての冬の時代が始まる事となった。