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shoryu38の特撮・ヒーロー日記

ウルトラマン、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『ガメラ3 邪神覚醒』(1999年公開)

ガメラ

ガメラ3 邪神覚醒』

1999年3月6日公開

監督 金子修介

特技監督 樋口真嗣

脚本 伊藤和典金子修介

 

平成ガメラシリーズ第3弾。

いわゆる平成ガメラ三部作の最終作。

 

平成ガメラ三部作と銘打たれているが、2作目までと本作とでは雰囲気がだいぶ異なっている。

1作目と2作目はドキュメンタリータッチで作られていて、劇中の登場人物は自身のドラマを見せるのではなく怪獣事件の説明役に徹している。そのドキュメンタリータッチで理屈的な物語がクライマックスで一気に感情の部分へと舵を切っていく作りになっている。

対して本作は綾奈と言う一人の人間の感情のドラマが中心に置かれていて、1作目と2作目では抑え気味であった「怪獣と交流する人間」を全編に亘って描いている。

 

本作は全体的にホラータッチになっているが、これによって綾奈と言う少女と怪獣が復讐をキーワードに心を繋げる展開がスムーズになった。どちらかと言うと本作は「怪獣」と言うより「悪霊」とか「悪魔」とか「妖怪」とかそう言う霊的な存在を取り扱った作品として見た方が良いかもしれない。自分はホラー作品は怖いのが苦手なのであまり見ていないが、1995年に『エコエコアザラク』が公開されてから90年代後半はいわゆるジャパニーズホラーが興ったが、本作はそれの怪獣版とも言える。

怪獣と人間の交流と言うのは昔からあり、それこそ昭和のガメラシリーズの定番であった。昭和の頃は子供は大人には立ち入る事が出来ない子供だけの世界を持っているとして、怪獣との交流も結構あっさり描けているのだが、平成に入ると怪獣の存在を色々と理屈付けて成り立たせているので、その怪獣と人間が交流するには理屈が通らないオカルトじみたものが必要になったのかもしれない。

本作を始めとして、この時期の怪獣作品にはクトゥルー神話を取り入れた部分があるが、クトゥルー神話の基となったラヴクラフトの作品がSFとホラーを両立させていたので、怪獣と言う存在を色々と理屈付けながらオカルト要素も付け加えるのに適していたのだと思う。

 

本作では四神の話を始めとして、古来からの伝承を土台にした物語になっている。1作目と2作目が科学用語が多く使われたのに対して本作ではこれらオカルトチックな言葉が多く登場してやや戸惑うが、1作目にあった超古代文明の話を現在の日本を舞台に展開するにはこの方法がベターな選択だったのだろう。朝倉は劇中での活躍は少ないが、彼女の「日本の根っこに繋がる」と言う設定で、これらの部分をやや強引にだが推し進める事が出来た。(と言うか、朝倉と倉田がいないと登場人物の多い本作を2時間弱でまとめるのはおそらく無理だった)

 

1作目と2作目にあった「人間の目から見た怪獣の戦い」の表現が本作で一つの到達点を迎えた。もう15年以上前の作品だが、渋谷と京都のシーンは「人が住む街に怪獣が現れる」場面として今も怪獣作品の上位に位置していると思う。

15年も経っているのなら、さらに進歩した今の技術でもっと凄い映像が作れるのでは?と思うかもしれないけれど、この場面は単に映像が凄いのではなく、見せ方が実に上手かった。

怪獣作品で怪獣と人間を一つの画面に入れる場合、「手前に人間がいて、奥に怪獣がいる」と言う構図が多い。それが本作では「下に人間がいて、その上に怪獣がいる」と言う構図を取り入れている。その「人間の上にいる怪獣」が落ちてきたり足を振り下ろしてきたりする事で人間と怪獣の距離感を0にし、「怪獣に襲われる」をリアルな感覚で生み出す事に成功している。

 

イリスはこれまでの怪獣にはあまり見られないデザインで、どちらかと言うとアニメ寄り。でも、このように怪獣作品以外のジャンルから色々な要素を引っ張って来る事で新しいものが作られるのだと思う。間違い無くイリスはこれまでに無い新しい怪獣だった。

 

今回の戦いでは自ら腕をもぐ事になったガメラ。この「傷付くガメラ」は昭和シリーズからの伝統と言える。

平成三部作のガメラも人間と交流する場面はあったが全体的に抑えめであった。しかし、本作終盤で綾奈を救出する場面はガメラの姿に人間の姿を感じとるほどにガメラを「人間と繋がるもの」として描いている。もちろんこれは昭和シリーズのガメラに通じる部分。この場面を見ると平成三部作も昭和シリーズと同じ精神を持っているのだなと言うのが分かって感動する。

 

昭和シリーズと言えば、本作の主人公である綾奈はガメラを憎むあまり周囲から孤立していったが、これは『大怪獣ガメラ』の主人公であった俊夫少年と同じ。俊夫少年は自分が飼っていたペットとガメラを同一視し、ガメラに過剰に感情移入していったが、綾奈はガメラを過剰に憎み、自分が飼っていたペットと同じ名前をイリスに付けている。

 

本作は日本に襲来するギャオス・ハイパーに対して自衛隊が出撃し、ガメラも覚悟を決めるところで終わる。作品において「物語の決着」と「戦いの決着」は必ずしもイコールではないので、本作の物語がこの場面で終わるのは理解できる。

それでもまぁ、ガメラVSギャオス・ハイパーVS自衛隊の大迫力の決戦は見てみたかったなぁと言う気持ちは正直言ってある。

 

本作は平成三部作の最終作なので1作目の主人公だった長峰が再登場しているが、シリーズとしてではなくて本作単体で考えた場合、龍成を主人公にしてほしかった。最後に心臓マッサージと人工呼吸で綾奈を助けようとするのは本来なら龍成の役だったと思う。