読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

shoryu38の特撮・ヒーロー日記

ウルトラマン、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『GODZILLA ゴジラ』(2014年公開)

ゴジラ モンスターバース

GODZILLA ゴジラ』(GODZILLA

2014年5月16日アメリカ公開

監督 ギャレス・エドワーズ

脚本 マックス・ボレンスタイン

 

ゴジラ60周年に合わせてハリウッドで再び製作され、それを受けて日本でもゴジラ関連書籍や番組が多数作られ、遂には日本のゴジラシリーズも2016年に復活する事となった、まさに怪獣王復活の作品。
 
今回のゴジラのデザインは首が太いのが特徴的。設定によると海中で生きる為に鰓呼吸が必要だからとの事。正確にはクジラは肺呼吸なのだが、あの巨体が海を泳ぐさまはクジラを思わせる。立ち上がった時の姿はゴリラを思わせる感じなので、「ゴジラ」の語源となった「ゴリラ+クジラ」をデザインで示したのかもしれない。
そう言えば、ゴリラの怪獣と言う事でキングコングのイメージも入っているように見える。
 
今回のゴジラはかつて生態系の王として地球に君臨していて現在は地球の生態系の調和を目的としている。これは『対ヘドラ』でヘドラと戦った時のゴジラのスタンスに近い。『対ヘドラ』を担当した坂野監督が今回の製作に関わっていたり、アメリカでは70年代のゴジラシリーズが何度かTV放送されていたのが影響したのかもしれない。
そう言えば、アメリカ軍の微妙な手際の悪さも『対ヘドラ』の自衛隊っぽい。
 
敵怪獣のムートーは核エネルギーを求めていて人間が核に依存しているので被害が生じたと言うのは平成ゴジラを思わせる。一方で繁殖等と言った1998年版『GODZILLA』のゴジラを思わせる生物的要素も多く、ゴジラとムートーの対決は昭和のゴジラと平成のゴジラの対決と言う図式に見えない事も無い。
 
ドラマに関してはちょっと弱い。
全体的にムートーによる災害パニック映画となっているので基本的に人間はその対処とリアクションに終始している。怪獣作品のツボは押さえているので怪獣作品として見るのなら楽しめると思うが、怪獣ファン以外はあまり楽しめないかもしれない。
 
今回のゴジラだが、物語的には主人公フォードの父親であるジョーの化身と言う側面があると思われる。
ジョー原発に関連した仕事で家族を養っていたが、その原発事故で最愛の妻を亡くして息子と疎遠になった。そして原発事故の真相を隠蔽する人々に激しい怒りを募らせるが、事故の真相であるムートーの襲撃によって重傷を負い、フォードに「家族を守れ」と言い残して息を引き取る。
それと引き換えにゴジラが現れてムートーと戦い続けているので、死んだジョーゴジラと言う怪獣になって妻の仇を討つ為に息子の家族を守る為にムートーと戦うと言う構図が見える。『ウルトラマン』のウーに近いと言えば伝わるだろうか?
 
実はフォードが家族と一緒にいる場面は少なく、妻のエルと息子のサムはフォードがいないアメリカでムートーの襲撃を受けるが、その時にムートーと戦って結果的に人々を守る事になったのがゴジラなのだ。
これはかつて妻と息子を守れなかったジョーゴジラとなって息子の妻と子供を守ったと解釈する事が出来る。実際、ゴジラがエルやサムと関わる場面ではゴジラがエルやサムを守ったように見える。
 
ゴジラや人間側の話が「家族を守る」なら、ムートー側の話も「家族を守る」になっていた。
最初に現れたオスのムートーは妻と卵を守る為に戦っていたので、その構図はジョーやフォードと同じ。先に挙げたゴジラジョーの化身と言う説を取れば、ジョーはムートーを倒す事で妻の仇を取るのだが、それはまた一つの妻であり母親の命を奪う事でもあった。敵怪獣でありながらムートーを絶対悪にしなかったのは日本の怪獣らしくて興味深い。
 
原発で事故が起きて街が退避地区になったと言うのは3・11以後のフクシマがモデルなのは間違いが無い。1954年の水爆実験、1971年の公害、1984年の冷戦等、その時々の社会問題を取り上げるのがゴジラシリーズの一つの側面だとしたら、2014年の作品がフクシマを取り上げたのは当然の流れだと言える。
 
興味深かったのは、渡辺謙さん演じる芹沢博士に広島の原爆が原因で父を亡くしたと語らせ、アメリカ軍が事態収拾の為に核ミサイルを使おうとするもムートーの襲撃を受けてアメリカの街で核ミサイルが爆発する危険が生じたと言う展開。
広島や南太平洋等、海外で核を使っていたアメリカが自分達が生み出した核兵器で危機に陥ると言うしっぺ返しを受けたのが面白かった。自分はアメリカの詳しい事情は分からないが、よくこのアイデアが通ったものだと思う。
今回の映画は冒頭が原発、中盤が津波、最後が核兵器とかなり刺激的な場面が入れられている。それは表面的には日本を意識しての事なのだろうが、冒頭の原発がアメリカのスリーマイルを意識したデザインになっていたり、芹沢博士に広島の原爆の話をさせた後でアメリカ国内で核ミサイルが爆発する危険を生じさせたりとアメリカに向けても意識した場面があり、かなり難しいところを攻めたなと思う。
 
渡辺謙さん演じる芹沢猪四郎博士は本多監督と『ゴジラ』に登場する芹沢博士から名付けられた。でもキャラクター自体は『ゴジラ』の芹沢博士より『ミレニアム』の篠田に近い。
 
前半は怪獣作品の基本に則って、ゴジラ出現を引っ張って引っ張ってハワイでようやく出したところで咆哮!と基本が出来ている。後半は対決路線に切り替わって、ゴジラとムートーの位置関係や優勢劣勢を示すカットが多くなった。日本のゴジラシリーズのように街の中で戦っている怪獣を俯瞰で捉えるカットもある。全体的にミレニアムシリーズの怪獣演出に近い印象を受けた。
 
テーマは『ゴジラ』で、物語全体の構図は昭和シリーズで、怪獣の設定や人間ドラマの展開は平成シリーズに近い感じかな。
 
最後に、いくら主人公とは言え、フォードの生き残り力はさすがにどうかと思うw
あんたは『対ヘドラ』のケン坊かwとツッコみたくなるほどに危機に陥りながらも生き残った。
 
この後、製作のレジェンダリー・ピクチャーズゴジラシリーズの続編に加えてキングコングシリーズの復活を発表し、ゴジラキングコングが共演する「モンスターバース」を立ち上げた。