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shoryu38の特撮・ヒーロー日記

ウルトラマン、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『モスラ』(1996年公開)

平成モスラ

モスラ

1996年12月14日公開

監督 米田興弘

特技監督 川北紘一

脚本 末谷真澄

 

平成モスラシリーズ第1弾。
モスラ』『モスラ対ゴジラ』『三大怪獣 地球最大の決戦』『ゴジラVSモスラ』を再構成した感じの内容となっている。
 
ゴジラ平成VSシリーズがファミリー映画として定着していった中、その後を継いだ平成モスラシリーズも家族層にアピールする内容となった。つまり、冬休みに親が子供を連れて見に行ける映画である。
喧嘩ばかりしていた家族が怪獣事件に遭遇する中で気持ちを一つにしていくと言うドラマで子供向け作品の王道と言えるが、意外と平成の特撮作品では子供を中心とした家族のドラマは少なかったりする。
 
実際にデスギドラの影響を受けた範囲は広いのだが、大樹と若葉と言う子供を中心にした狭い範囲に描写を絞っているのが本作の特徴。
個人的な感覚なのだが、話の範囲を広くするとどうしても軍や政府の対応と言うのが必要となってきてミリタリー色が強まるが、話の範囲を狭くするとファンタジーやホラー色が強まる傾向があるように思える。本作だと前半に後藤家を舞台にエリアス三姉妹の戦いが繰り広げられるが、その描写はエリアス達の姿が映らなければポルターガイスト現象のように見えるし、ベルベラに操られた若葉は明らかにホラーとして演出されていた。このミリタリーからファンタジー&ホラーへの転換によって平成モスラシリーズは先のゴジラ平成VSシリーズや同時期に展開されていた平成ガメラシリーズとも異なる世界観を作るに至ったと言える。
 
川北監督による特撮はゴジラ平成VSシリーズを引き継いでド派手な光線技が乱舞している。でも、幼虫モスラが腹から光線を撃った時はさすがにたまげたw
デスギドラの火炎は迫力満点! 凄すぎて炎と煙と爆発で画面がよく分からなかった場面があるほどであったw
 
その一方で川北監督はモスラ親子の場面は情感たっぷりに演出している。
モスラが力尽きて海の底に沈んでいく場面はモスラ全作品の中でも哀しいシーンに仕上がっている。ゴジラ平成VSシリーズでもゴジラとベビーの場面で親子の情愛(ゴジラとベビーは親子じゃないけれど疑似的な親子関係なので)を描いていたが、今回はモスラ親子の動きだけでなく舞台となった海(水)も使って演出していてその完成度は高い。
 
ゴジラVSモスラ』ではモスラの人形が作りものっぽくて生物的な生々しさが無かったが、本作では生々しさがいらないファンタジーの方面へと舵を切り、モスラ関係の作り物っぽさが逆に一つの世界観を構成するようになっている。クライマックスである屋久島でのモスラが幼虫から成虫へと変わる場面は完全に生物的な生々しさを捨てたファンタジーの演出が行われていて、ここでゴジラ平成VSシリーズとは違った平成モスラシリーズが事実上スタートしたと言える。
 
全体的にファンタジックな内容なのだが、米田監督による本編演出は意外と生々しい。デスギドラ出現で逃げる人々や若葉の怪我や病院の様子等、「人が傷付く」がちゃんと描かれている。
 
話を見ると特撮部分が多くて人間ドラマは意外と少ない。
前半はエリアス三姉妹の戦いで中盤以降はモスラ親子とデスギドラの戦いがずっと続いている。その為、ほぼ全編に亘って怪獣(キャラクター)が出ずっぱりとなっている。ゴジラ平成VSシリーズでは観客の子供はゴジラが出ている間は静かだが人間ドラマになると騒ぎ出すと言う話があったので、それに対する処置であったのだろう。ここは戦闘シーンでなくても画面に出す事が出来る小美人やフェアリーモスラの存在が実に効果的であった。
ただし、人間ドラマに割く時間が少なかった事と編集が雑と言うかぶつ切りな感じなので、時間経過や位置関係等がおかしい場面が幾つかある。印象的な絵作りを優先している感じの編集だったので、話の流れを重視する人は見ていて気になるかもしれない。
 
羽野晶紀さん演じるベルベラが実に素晴らしい!
格好、声や喋り方、仕草。こういう作品における悪役女性キャラを見事に体現している。
 
ラストシーンは都合が良いとも捉えられるが本作の結末としてはアリだと思う。ゴジラ平成VSシリーズや平成ガメラシリーズでされたらさすがに困るが、逆に言えば、あの結末を観客が受け入れられるところまで持っていく事が出来たのなら、ゴジラ平成VSシリーズとも平成ガメラシリーズとも違う平成モスラシリーズが誕生する事が出来たとも言える。