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ウルトラ38番目の弟

ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『インクレディブル・ハルク』(2008年公開)

マーベル・シネマティック・ユニバース

インクレディブル・ハルク

2008年6月13日アメリカ公開

 

マーベル・シネマティック・ユニバース第2弾。
 
驚きなのはハルク誕生の経緯をオープニングで済ませたところ。なので劇中ではブルース・バナーは最初からハルクとしてアメリカ軍に追われている逃亡者となっている。その為、全編通して「アメリカ軍から逃亡するブルース」と言う展開になり、常に切迫した事態として緊張感を保たせている。また、冒頭から実験の被害者であり軍に追われている逃亡者とする事で観客はブルースを「可哀想な人」として応援するように作られている。
 
ハルクは自らの肉体が巨大なモンスターに変異する事からヒーロー作品よりもモンスター作品の要素が強く、全体に哀しさや怖さがあって、前作『アイアンマン』との差別化が上手くなされている。(2003年に公開されたアン・リー監督の『ハルク』ではモンスター要素がより顕著になっていた) メカの力を使って表舞台で輝かしい存在となっているアイアンマン・トニーと生物の力を使って裏世界でひっそりと生きるハルク・ブルースの対比が面白いが、さらに面白いのは『アベンジャーズ』で実際にトニーとブルースが出会ったら意気投合した事であろう。この「全く異なるヒーロー同士が力を合わせる」事こそが『アベンジャーズ』の面白さ。
 
ハルクが誕生するきっかけとなったスーパーソルジャー計画は元々はキャプテン・アメリカを誕生させた計画で、それについては『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』で語られる事になる。成功したキャプテン・アメリカがアメリカの英雄としてアメリカ軍と共に歩んだのに対し、失敗したハルクはモンスターとしてアメリカ軍に追われる事になったと言うのも対比的。
 
アボミネーションに変身するブロンスキーのキャラクター造詣が良く出来ている。
科学者であるブルースは研究の兵器転用には反対の立場だが、軍人であるブロンスキーは兵士として戦い続ける為にその研究を自分に使う。
ブロンスキーの年齢を30代中頃にし、さらにロス将軍に「40幾つか?」と少し上の年を言わせる事で、否応無く「年齢による衰え」を感じさせ、彼を肉体強化の道へと走らせるようにした。演じているティム・ロスは身長が低いのだが、それも「ブロンスキーは恵まれた肉体を持っていなかった」と言うコンプレックスに繋がって、肉体強化を求めた理由の一つになっているのかもしれない。
こうなるとブロンスキーはキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースとの共通点が見えてくる。ただスティーブが何かを守る為に戦っていたのに対し、ブロンスキーは戦う為に戦うと言う大きな違いがあったが。
 
色々とやらかしてしまったロス将軍ではあるが、基本的に彼は事態収拾の為に動いていて、酷い悪人と言うわけではない。(最後にハルクを援護したのは、危険対象がハルクからアボミネーションに変わったから。事態収拾の為に考えうる最善を尽くすと考えたらロス将軍の行動は一貫している。残念ながら結果が伴わなかったが…)スーパーソルジャー計画復活だってロス将軍個人で発案して進められるレベルの話ではないので上層部の判断だったと思うし。ただ、ロス将軍は今回の事態を収拾するには役不足だった事は否めない。
 
そう言えば、冒頭からブルースが追われている身で色々と苦労していて、ベティがロス将軍は自分のミスを隠してブルースに酷い事をしたと言っているので、今回の事態の原因は全てロス将軍にあるように感じられるが、ロス将軍の話によると「自身の研究に自信を持っていたブルースが自らを被験者とした結果事故が起きた」なので、この話が真実なら実はブルースは自業自得の面があったりする。(それを観客に悟らせないようにしたのがハルク誕生の経緯をオープニングのみで済ませたあの構成だったのかも)
 
マーベル・シネマティック・ユニバース作品の中で唯一続編が無い本作。マーベルには単独で映画を作る権利が無く、その権利はユニバーサルが持っている事が理由らしい。その為、マーベルが発表した2020年までの映画の予定表にも本作の続編は記されていない。結果、サミュエル・スターンズがリーダーに変異を始めた描写があるのだが、そのまま数年間も放置と言う事に…。単独映画が無理でも他のマーベル・シネマティック・ユニバース作品に出る事は可能だと思われるので、『アメイジングスパイダーマン』よりは絶望しなくて良いのだが…。