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shoryu38の特撮・ヒーロー日記

ウルトラマン、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『アイアンマン』(2008年公開)

マーベル・シネマティック・ユニバース

『アイアンマン』

2008年5月2日アメリカ公開

脚本 マーク・ファーガス ホーク・オストビー アート・マーカム マット・ホロウェイ

 

マーベル・シネマティック・ユニバース第1弾。
 
アメリカの軍事企業の社長であり発明家であるトニー・スターク。
戦場で兵器のデモンストレーションをし、お酒を飲んで兵士と談笑する等、自分が人殺しの道具を売りさばいている現場がどういったものなのかを全く実感していなかった男が、テロリストに捕らえられ、そこで自分が開発した兵器がどのような末路を辿っているのかを知り、命の恩人の犠牲と引き換えに自分一人が助かった事で考えが変わる。
 
ここで興味深いのはテロリストの事情には深入りせず、テロリストはあくまで自分達の敵であるとし、そこに兵器を横流ししている死の商人達を新たな敵として加えたと言う展開。日本だったら、ここでテロリストが誕生する経緯とかに触れ、主人公とテロリストの間に何らかの共感を設けるような気がする。
この善悪と敵味方をはっきりと分けて描くのはアメリカらしい。その為、兵器の横流しを止めても根本的な解決にはならないのではと言う疑問が生じる一方、2時間と言う尺に話を収め、作品をあくまでエンターテイメントの領域に留める事に成功している。
 
アイアンマンシリーズにはテン・リングスと言ったテロリストが出てくるのだが、最終的には身内と言うかアメリカに属する何者かが裏で糸を引いている展開が多い。かつてはソビエト率いる共産主義勢力と言う強力な外敵が存在していたのだがそれが無くなり、またグローバリズムによって世界の隅々にまでアメリカが影響を及ぼせるようになった事で、アメリカ=地球となり、地球のどこかにいる敵は結局はアメリカとどこかで繋がっているとなった。
因みに、そのアメリカの捉え方を根底から覆す事となるのが、後の『アベンジャーズ』における宇宙から襲来する外敵の存在である。ソビエト崩壊以降、強力な外敵を持っていなかったアメリカが初めて遭遇した理解不能な存在にトニーが苦しめられる事になるのはまた後の話。
 
映画の半分はトニーによるアイアンマン製作なのだが、このシーンが実にワクワクする。こういう何かを作り上げていく過程と言うのは見ていて面白い。
完成したアイアンマンがテン・リングスの襲撃を受けた村に駆け付ける場面はヒーロー度が高くてカッコイイ!
ここでヒーローが戦うのが怪人や怪獣じゃなくてテロリストと言うのがアメリカらしい。
 
出番は少ないながらもインセンは印象に残るキャラであった。
アイアンマンシリーズに登場する発明家は皆どこかしらトニーに対する嫉妬と言うか歪んだ思いがあり、インセンも初登場時はそう言う側面を見せていたのだが、それ以後はトニーを助ける事に尽力していた。最初から死ぬ事を覚悟していたらしいところを見るに、トニーほどの天才なら今の世の中を変えられるはずだと考えたのだろう。結果的に、インセンが助けた事でトニーの考えは変わるので、インセンの目的は達成されたと言える。
トニーがインセンについて触れる場面は少ないが、アイアンマンとなってインセンの故郷を守りに行く時の顔を見るに、彼の中で大きな位置を占める存在であった事は確かだろう。同じ発明家として会話を交わしていた事もあるし、短い付き合いではあったが「友人」だったと言っても良いと思う。
 
オバディアは演じたジェフ・ブリッジスが実にハマっていた。
自分は原作を見ていないのであくまで映画の中でのみ語るが、あの巨体とアクの強さで、トニーが倒すべき存在と言うのに説得力を持たせていた。
冒頭で粗暴なテン・リングスの幹部が出た後、続いて今度は知識と教養を持つラザが現れ、そのラザをも技術力であっさりと屠る事でオバディアのラスボス感が表現されていた。
最終決戦に登場するアイアンモンガーもその巨体さがオバディアと重なっていて、トニー=アイアンマンが倒すべき敵として、しっかりと示されていた。
ジェフ・ブリッジスの演技で言うと、トニーを見る目がどこか優しげと言うか、バカ息子と思いながらもそれを愛している父親みたいなものを感じられて、色々と深読みしたくなる人物に仕上がっていた。
 
自分の開発した兵器がテロリストに横流しされていた事を知ったトニーは自分なら武器を正しく扱えるとし、自分だけが装着できる武器としてアイアンマンを開発した。「私がアイアンマンだ」と言う言葉の通り、アイアンマンはトニーだけなのだが、それは別にスーパーヒーローがトニーだけ、と言うわけではない。と言う事でラストシーンではニック・フューリーが出て、トニー以外のスーパーヒーローであるアベンジャーズの存在を語る事となり、ここからマーベル・シネマティック・ユニバースと言う壮大な物語が始まる事となる。