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shoryu38の特撮・ヒーロー日記

ウルトラマン、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『大怪獣バラン』(1958年公開)

特撮

『大怪獣バラン』

1958年10月14日公開

監督 本多猪四郎

特技監督 円谷英二

脚本 関沢新一

 

当初は全4話のテレビドラマの予定だったのが最終的に1本の映画となった作品。
当時、映画はカラーだったがテレビはまだモノクロだったので、『空の大怪獣ラドン』がカラー作品だったのに本作はモノクロ作品となっている。
カラー作品の方が見易いのは確かなのだが、「怖さ」と言うか「臨場感」はモノクロ作品の方がある。現実世界はモノクロじゃない色付きなのに怪獣作品はモノクロの方がリアリティを感じると言うのも奇妙なものではあるが。
 
バランは地上を暴れ回るだけでなく、海で自衛隊との攻防も描かれている。ゴジラも海で自衛隊との攻防があったが具体的には描かれていなかった。さらにバランはムササビのように飛膜を広げて空を飛ぶ事も可能となっていて、「陸・海・空」と3つのステージで動ける万能な怪獣となった。バランに飛膜があって空が飛べると言うのは物語中盤まで隠されていたので前知識無しで見ると結構驚くと思う。
残念なのは空を飛ぶ場面がこの中盤の一度しかなかった事か。是非とも自衛隊との空中戦を見たかった。ただ、自衛隊としてはバランが空を飛ぶ前に決着を付ける作戦だったので、バランが後半戦で空を飛ぶ前に倒されたのは正しい展開だったとも言える。
 
バランは最初は婆羅陀魏山神と言う神様の側面が強調されていたが、姿を現した後は恐竜バラノポータと言う生物である事が強調された。ゴジラと似たパターンではあるが、本作は『ゴジラ』に比べて「地方に眠る伝説を中央が科学的に解明する」と言う「科学の光で伝説の類の闇を払っていく」当時の時代背景が色濃く出ている。
 
物語の前半ではバランが現れるも画面には姿が見えない場面が幾つかある。その場面ではバランの姿の代わりに突風が吹き荒れる描写が入れられている。バラン自身に突風を起こす能力は無いので、これは演出と思われるが、「強大で恐ろしい何かが迫ってくる」感が表現されていて素晴らしい演出となっている。ひょっとしたら実際に怪獣の姿を描く以上に怪獣の恐ろしさを表現した場面と言ってもいいかもしれないほどの出来であった。
 
当初は全4話のテレビドラマの予定だった名残か前半と後半で作風等が随分と異なっている。前半は怪獣出現までの流れを人間目線で丁寧に描いていて臨場感ある作風なのだが、後半は離れた作戦室でバラン撃退の作戦を立てていくと言うシミュレーション要素が強くなっている。その為、前半にあった怪獣と人間の距離の近さからくる怖さが後半では無くなってしまっている。また前半は主人公である魚崎が中心となって動いていたのが後半では自衛隊や政府の関係者が中心になり、魚崎達が物語から外されてしまった。一応、特殊火薬をバランの近くに配置する場面で魚崎を活躍させて、前半にあった怪獣と人間の距離の近さと主人公である魚崎の活躍を描いてはいるが展開的にやや無理が生じていた。
 
物語は調査に向かった新庄がバランに殺され、同僚の魚崎と新庄の妹である由利子が調査に向かうところから始まるのだが、ヒロインである由利子が兄の死についてあまり気にしていないようだったのが残念。由利子が兄の死の原因としてバラン事件を追っていると言う風にすれば最後まで魚崎と由利子を物語のメインに据える事が出来ただろうし、後半の魚崎の無茶な行動も新庄の敵討ちと考えれば納得がいったのだが。
 
千田是也さん演じる杉本博士が映画的ないかにもな博士ではないリアルな感じの博士像で面白いキャラになっていた。
 
怪獣作品における平田昭彦さん演じる科学者が出た時の「これで何とかなりそう感」は凄まじいものがあるw