shoryu38の特撮・ヒーロー日記

ウルトラマン、鉄神ガンライザー、ゴジラ、ガメラ、アメコミ映画と色々な事を書いていくブログです。

『ゴジラ』(1954年公開)

ゴジラ

1954年11月3日公開

監督 本多猪四郎

特殊技術 圓谷英二

脚本 村田武雄・本多猪四郎 

 

偉大なる原点。

日本の怪獣史はここから始まったと言える。

 

この作品ではゴジラと言う存在が明らかになるまで時間がかかっていて、ゴジラが出るまでの間、迫ってくる恐怖と明かされていく闇がじわじわと見ている人の心を掴み、いつの間にか作品に引きこまれる作りになっている。これはゴジラと言う存在が謎に包まれている1作目だから出来た事。

 

ゴジラによる東京蹂躙は悪人でもカテゴライズされた架空のキャラでもないどこにでもいる普通の人が次々に死んでいく。命ある全ての存在に等しく無慈悲に死がもたらされていく事でゴジラシリーズの中でも恐怖を感じる場面になっている。

 

ゴジラは最初は気象や海の底に眠る化け物と言う自然的な側面が語られているが、やがて水爆実験で生まれた人型の化け物と言う姿を露わにする。わずか9年前に終わったばかりの戦争を下敷きに恐怖の対象を「自然」から「科学」へとスライドさせていっている。

 

この作品で最重要人物である芹沢博士は戦争の傷を負った存在で、新聞記者が芹沢博士の発明をドイツ人の友人から聞いたと言う話も戦争を想起させる。その芹沢博士が同じく戦争を想起させる存在であるゴジラと共に海の底で果て、最後に尾形達の未来の幸福を願うのは日本が戦争から新たな時代(未来)へと進む事を願っているようにも受け取れる。

 

最初にこの作品は日本における怪獣作品の原点と書いたが、実は怪獣であるゴジラよりも人間である尾形達がドラマを作っている。

主役の尾形はゴジラによって社員を失い、また、ゴジラによって家族を失った新吉を引き取っているので、ゴジラ倒すべしと言う立場。逆に山根博士は生物学者としてゴジラを倒さずに研究したいと言う立場。そして芹沢博士は水爆実験が生み出したゴジラに次ぐ脅威を生み出してしまった存在。

これらがヒロインの恵美子を中心に上手くまとまっている。

 

特に尾形、芹沢博士、恵美子の3人はゴジラ関係とは別に複雑な恋愛感情も絡んでいる。

芹沢博士がかつての想い人である恵美子にだけ話したオキシジェン・デストロイヤーの秘密を恵美子が今の彼氏である尾形に知らせ、その尾形が芹沢博士にオキシジェン・デストロイヤーの使用を求めると言う展開になっているが、このオキシジェン・デストロイヤーの使用が芹沢博士の命を絶つ事と等しいと考えると、このやり取りにはかなり複雑な意味があった事に気付かされる。(その結果、芹沢博士が望んだ未来と違う未来になってしまったのが『ゴジラVSデストロイア』)

 

山根博士は目の前の惨劇よりゴジラの生命力の謎に傾倒していくと言う危うさを見せるが、最後はゴジラの息の根を止めるオキシジェン・デストロイヤーを自らの手で芹沢博士に渡し、その芹沢博士とゴジラの死を聞くと、ゴジラの出現と人類の科学の過ちを結び付けて語り、この作品を締める事になる。

 

このように怪獣の描写だけでなく人間ドラマも非常によくまとまっているのが公開から60年を過ぎてもこの作品が高い評価を得ている理由だと言える。

怪獣に興味を抱いた人なら60年以上前の作品でモノクロだから…とは言わずに一度見てみる事をお勧めします。